名無しの雑記

自分の好きなことについてゆるく書いていくブログです

~擬人化だからできたこと~映画『ソーセージ・パーティ』(2016)感想

 

 

アマゾンプライムで映画『ソーセージ・パーティ』を見た。

f:id:hideotakeshi:20211031012742p:plain


www.amazon.co.jp

 

 

ストーリー

 舞台はとあるスーパーマーケット。店内の食料品らはトイストーリーよろしく意志を持っているという設定。店で買い物をする人々は「神様」として崇められ、彼らに購入されてスーパーの外に連れていかれると「天国に行ける」と信じられている。

 ソーセージのフランクはホットドッグ用のパンのブレンダと一緒に購入されて結ばれることを日々望んでいた。ある日「天国に行った」ハニーマスタードが返品されてスーパーに戻ってくる。仲間たちは天国の様子を聞くがハニーマスタードはおびえて「あそこはひどいところだ、天国なんて存在しない」とつぶやくばかり。

 そんな折フランクとブレンダはカートに入れられて購入されるあと一歩まで行くが、直前でカートから落ちてしまう。二人は自分たちの棚に戻るためにベーグルや中東のパンとともに旅をするが、その過程で天国の秘密を知る…

 

感想

 一言でいうと下品なトイ・ストーリーという感じの映画で、食べ物の視点から物語が描かれていく。主人公がホットドッグでヒロインが真ん中に挟むスペースのあるパン(ししかもパンなのに人間でいうところの胸のあたりが膨らんでいる)という時点で小学生の考える下ネタを体現したものだとわかるが、私は下ネタが好きなのでこれは楽しめた。

 この映画は食べ物を擬人化して描いているという点がとにもかくにも大きかった。設定の時点でそもそも下ネタだが、セリフも負けず劣らず下品でビックリするほど下ネタを連発する。

 さらに、食べ物視点で描くので調理シーンがとんでもないゴア描写に様変わりするのは面白かった。擬人化しているから「これがもし人間だったら…」と一瞬想像させられる。

 そして極めつけは、神様に勝利した後の乱交シーンだ。これなんか本当に擬人化しているからこそできる描写だと思う。まぁとにかくすごいのだが、特にタコスが自分の腰にソーセージのフランクを巻き付けてベーグル・パンを貫通して中東のパンに差し込まれるシーンは衝撃的だった。なんと形容すればいいかわからないー一瞬「ムカデ人間体位」という言葉を考えたがしっくりこないのでやめたー。

 

 基本的には連発される下ネタだったり、捨てられたガムとか、賞味期限の長い保存食が長老的なキャラとして出てくるといった意外とリアリティのある描写など面白い場面が多かった。

 

 しかし、食べ物の視点から描かれているので「食べ物VS人間」という構図で戦う、となったときに「これはいったい何を見せられているんだろう?」と首をかしげてしまう。

 これで仮にソーセージたちが勝利して人間を倒しても、今度は食料品が人類を制圧するディストピア作品に様変わりする。

 

 どう落とすつもりなんだろうと思いながら見ていると、結局メタなオチに行きついたが、これもこれでやはり疑問だ。ソーセージたちは自分たちが「パペットマスター(この映画作った人のこと)」に操られているということに気づき、パペットマスターを倒そうと決断して映画は終わるが、この展開も含めてメタなので結局パペットマスターには勝てないので無駄な挑戦に終わるわけだ。

 

 そのため、結末のシーンはそれっぽい行動をしているだけだ。だけど、仮にソーセージ側がこれからも続くであろう自分たちを食べる人間たちに勝利したとて対して面白くはならないので、苦肉の策でこうなったんだろうなと感じた。

 

 アイデア自体は面白いが、そのアイデア自体に首を絞められてうまく畳めなくなってしまったという印象を受けた。正直そんなにまじめな態度で見る映画ではないのかもしれないけど。